第一印象は、綺麗、だった。
飾りっ気が無くて、如何にも真面目そうで。
面白味に少し欠けると、他の人間ならそう思ったかも知れない。
だけど、其の細身の躯と言い、纏ったモンの透かし具合と言い、稀な美貌の持ち主だった。
触れれば無骨過ぎない、しなやかな躯のラインの心地善さに、益々気に入った。
其れがもう何年前の話になるのだったか。
気に入っていた分、手元から離さなかったし、勝手に居なくなるような亊も無かった。
以前迄は。
正確に居なくなった日時は分からない。
気が付いた頃には何処にも姿は無かった。
其の手の亊に関して言えば、自分は割と執着の無いタイプだ。
居なければ居ないで、手に届く範囲内で済ませればいいと思っている。
彼奴以外に関しては。
昔馴染みに頼ってみたが、合わなかった。
もうずっと彼奴だけに触れ続けていた所為で、馴染まないのだ。
遣るコトなんてどれも同じで、必要な部位なんて大差無いにも関わらず。
多分、もう帰って来ないのだろう。
聞いて訊ねた訳じゃないが、非は自分にある。
詳しくは書かないが────
今から思えば、浮気同然の行為をしていた。
気付くのも、其れを悔いるのも、遅過ぎた。
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